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講演会「美術館は発見と出会い。」に参加して(高木彬夫)

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 主催:市川市に美術館を要望する会
 共催:市川市 市川市教育委員会 協賛:山崎製パン株式会社 後援:市川市文化振興財団

はじめに
2024年8月4日10時半、全日警ホールはほぼ満席の状態だった。美術館設置に関心がある市川市民はこれ程まで大勢の人がいたのだろうか。見たところ若い人は少なく、大部分が高齢者のようだった。顔見知りの市会議員がちらほら、市の美術関係の職員もいるようだった。

美術館をつくりたいという人たちがいることは2年ほど前から知っていた。その動きが、大々的に講演会を開くまでの組織になっていたとは全く気付いていなかったので、どういった活動をしているのかを知るために、また私達「赤レンガをいかす会」が「赤レンガ建築物を創造の場にしたい」と考え続けてきたことと関連するのかを知りたいと思い参加することにした。

代表挨拶
・中山忠彦代表の挨拶、中山氏は市川に住むようになって60年画業を続けてきた。「過去現在にわたり日本を代表する巨匠作家を多く輩出されている文化都市として、市立の美術館が必要」とのことであった。

講演
・講師 土方明司氏は建物だけが出来ていた練馬区立美術館の準備室で同館の立ち上げに尽力し軌道に乗せた。その後、平塚市美術館館長代理(館長の草薙奈津子氏は元市川市東山魁夷記念館準備室に携わる)として運営の梃入れを計り軌道に乗せた。現在、川崎市岡本太郎美術館館長。氏の話からは美術館は建物ではなくコンセプトが無ければ成り立たないと受け取れた。
・講師 稲庭彩和子氏は神奈川県立近代美術館、東京都美術館で学芸員を務め体験型の展覧会の企画、市民協働プロジェクトなどの企画運営。現在は国立アートリサーチセンターでアートと健康、ウェルビーイングの分野に注力している。絵画、彫刻など美術品の鑑賞だけではなく、精神、身体の健康などに役立てる新しい切り口の効用を紹介してくれた。

休憩
・別室でランチタイム休憩。ランチのサンドウィッチ、弁当はヤマザキパンの提供。

意見交換会
・午後の意見交換会は4人のグループに分かれ、話し合いながらまとめたものを講師と質問・回答のワークショップ形式で進行したが、私自身的確な質問をすることが出来ずに終わってしまった。

終わりに
・閉会挨拶で、今後の情報を送りたいので出来ればLINEの登録をおねがいする、入り口に黒い服を着た係員がいるので申し出てほしいとの伝達があった。
ちょっと引っ掛かるところもあったが、今後の情報を得るために登録をした。以上が当日の状況である。


「市川浦安よみうり」8月17日版の記事から
会から8月23日にLINEで情報提供があった。「市川浦安よみうり8月17日版」の記事である(添付)。
これを見ると講演会では聞けなかった計画内容、相当綿密な計画が立てられていることが判る。
市川に美術館が必要である理由として
 ➀市川にゆかりのある世界に著名な芸術家の業績顕彰機関、作品の保存、研究機関としての役割。 ②国際性を兼ね備えた文化的な発展に寄与できる企画展などを運営し、内外に力強く発信。③将来の芸術文化の育成に寄与するための公募、教育部門の設置。④利便性の良い立地を選び多くの人々が参集できる。

 また、立地について県立現代産業科学館、国府台血清研跡赤レンガ倉庫、本八幡駅前再開発ビル内などが検討材料として挙げられている。建設場所の候補として赤レンガ倉庫が挙げられてはいるが、私達の考えている場所としての必然、ゲニウス・ロキ(地霊・土地柄への理解)とは全く異なり、特別の思い入れがあるわけでもなさそうである。

 そうして施設「箱もの」計画に先行してソフト面から現代、未来に求められる美術館像を探り、市も構想に活かしてゆく方針だ、とある。


全体を振り返って
以上が講演会の概略だが、訴えるところが何だったのか、もやもやしていまひとつ伝わってこなかった。

もやもやして趣旨が掴めなかったことの原因は、「求める美術館とは何か」がはっきりしていないことに他ならない。「自前の美術館が欲しい」と思った人たちがまとめた計画の中に肝心の「どんな美術館にしたいのか」がすっぽり抜け落ちていることが講演会に参加したもやもや感の原因だったのではないか。

私達「赤レンガをいかす会」は、赤レンガ建築物を平和遺産として保存することを第一義としながらも、「市民活動の創造の場としての活用」もプランの中に採り入れている。そこには、市民の美術活動も含まれるものである。
いずれ、「市川市に美術館を要望する会」と懇談の場を設け、どのような美術館を求めているのか、意見交換が図れればいいと考えるきっかけにはなった。

広報いちかわ2024年7月20日号 講演会のお知らせ
https://www.city.ichikawa.lg.jp/pr/20240720/info20240720.html#m15

講演会の概要映像 市川市に美術館を要望する会YouTubeチャンネル
https://youtu.be/U_L7QmCvXjk?si=3Kgp949Xq6TRK6ua

代表の中山忠彦氏は、2024年9月24日、逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。
https://www.hakujitsu.com/nakayamakaityouseikyo_oshirase/

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