今回の公演について

作・作詞・演出:吉原廣
音楽:石川洋光
振付:安西真幸・千紗「いちかわ市民ミュージカル」は、毎回市川市に関係する素材を取り上げて上演するオリジナル・ミュージカルです。
さて、今回の舞台も、市川市国府台2丁目の旧千葉県血清研究所跡地にある赤レンガ建築物が関係してきます。
というのは、市川市長が「赤レンガの保存を所有者の県に要望する」と表明したからです。
話題の赤レンガは、明治20年代に建設され、フランス積みというレンガ積み形式のほぼ完全に残された極めて文化財的価値の高い建築物です。
昭和20年の太平洋戦争終戦まで、日本陸軍の広大な軍事基地の武器庫でした。
戦後は、千葉県血清研究所の倉庫でしたが、平成14年に研究所が廃止された後は全く放置されたままになっています。第7回公演「月の雫~市川イーハトーボ物語~」では、その赤レンガの戦前史をミュージカルにしました。
今回は、戦後の歴史につなげたいと思います。

第3回公演「夏の光~空に消えた馬へ~」は、戦争中の中山競馬場で実際に起きた悲劇を描いて評判をとりました。
そして、そこにあった陸軍病院研究所は戦後は千葉県血清研究所となって国府台に移転し、赤レンガに結びつくことになるのです。

なぜ作者はこのように赤レンガにこだわるかを述べれば…戦争と破壊の象徴であった赤レンガ建築物を、いつか平和と芸術と文化の殿堂「国際障がい者芸術センター」として再生したいという私的構想があるからです。

今回の公演を通して、市民の中に広く赤レンガと私たちの文化の将来を語り合う機運が生まれればと願います。